不動産売買契約の条件

不動産売買契約における特約条項について解説します。

不動産売買契約における特約条項は当事者の不動産取引を守るためのもの。そして、双方にとって安全かつ公平な不動産取引を行うための個別の契約条項です。

不動産売買契約における特約条項とは?

不動産売買契約における特約条項については、以下の3つのポイントで説明できます。

定義と目的について

特約条項とは、売買契約の一般的な条項に加えて、売主と買主の間で合意された個別条件や約束のことを指します。これらの条項は、特定のリスクを管理したり、取引の特殊な側面を扱ったりするために設けられます。特約条項は、不動産の特性、売買の条件、または当事者間の特定の合意に基づいて個別設定されることが多いです。

不動産契約の特約事項の種類と内容について

特約条項の内容は多岐にわたりますが、一般的には以下のような事項が含まれます。

  • 引渡し条件:物件の引き渡し日や状態に関する特約。
  • 解約条件:契約を解除できる条件や解除時の違約金に関する特約。
  • 契約不適合責任:商品やサービスが契約内容に合致しない場合の責任範囲に関する特約。
  • 用途制限:物件の使用目的に関する制限事項。
  • 負担物件の扱い:既存の抵当権や地役権など、物件にかかる負担に関する取り決め。

不動産契約の特約条項の重要性について

特約条項は、不動産取引の安全性と透明性を高めるために非常に重要です。

これらの条項によって、双方の当事者が特定のリスクを明確に理解し、合意に至った条件下での取引が保証されます。特約条項の明確な記載と合意は、将来のトラブルや誤解を防ぐために不可欠です。また、これらの条項は法的な紛争が生じた場合の重要な根拠となることもあります。

不動産売買契約の特約条項は、契約書作成時や契約締結前の検討事項として重要な役割を果たします。

不動産契約の特約事項のサンプルとその解説

一般的な特約事項には、以下のような例があります。これらの特約事項は、契約の安全性を高め、双方の利益を保護するために設定されます。

引渡しの条件

物件の引渡し日時や、引渡し時に物件が満たすべき条件(例えば、特定の修理を完了させる、清掃を行うなど)について定めます。

契約不適合責任

契約に基づいて引き渡された目的物が、種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合していない。このような場合の対応について規定。

解約条件

契約を解除できる条件や、解約時に発生する違約金、手付金の扱いについて定めた条項のこと。

資金調達の条件

買主が不動産購入のための資金を銀行ローン等で調達する場合、その資金調達が条件となることがあります。資金調達がうまくいかなかった場合に契約を解除できる条件を設けることがあります。

用途制限に関する特約

物件の使用目的に関する制限を設けることがあります。例えば、住宅用地であれば商業施設として使用することを禁止する、などの内容です。

先行条件(コンディション・プレセデント)

契約の有効性や一部の条項の有効性が、特定の条件の成就に依存することを定めます。例えば、特定の許可が得られることが条件である場合などです。

負担物件の扱い

物件に設定されている既存の抵当権や地役権などの扱いについて合意する条項です。

特約条項を活用した契約解除事例について

不動産売買契約における特約条項の事例を3つ紹介します。

買主の資金調達条件の特約の事例

この特約は、不動産購入のための買主の資金調達が特定の条件で満たされることを条件とします。

例えば、買主が不動産購入のために必要なローンを特定の金利以下で確保できなければ、買主は契約を解除することができるという条項。また、不動産購入のために必要なローン審査が通らなかった場合に契約を解除できるという条項が記載されます。

この特約は、買主が予期しない高金利での融資による金銭的負担を避けるためのもの。実際に多くの契約書に特約として盛り込まれている非常に重要な特約条項です。

また、買主が資金調達を行うための具体的な期限も設定されることがあります。この期間内に条件を満たす資金調達ができなかった場合には、契約を安全に解除できるようになっています。

資金調達条件の特約を「ローン特約」「住宅ローン特約」と呼んだりもします。

引渡し後の故障に関する特約の事例

物件引渡し後に特定の設備に故障が発生した場合の対応について定めた特約です。

例えば、引渡し後6ヶ月以内に発生した給湯器やエアコンなどの設備故障に対して、売主が修理費用を負担するといった内容が含まれます。

この特約は、買主が引き渡し後に予期せぬ追加費用を負担するリスクを軽減します。

契約不適合責任に関する特約の事例

民法では「契約不適合責任」について、売買契約などの有償契約において、目的物の種類・品質・数量が契約内容に適合していなかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことと定義しています。

不動産売買契約であれば、具体的に次のようなケースが該当します。

  • 不動産の一部が破損している
  • 建物に使用されている建材が、契約内容と異なる(品質面で劣る)
  • 土地の面積が契約上の面積よりも小さい

これらのケースは、契約不適合に該当します。このような場合には、売主は買主に対して補償などを行う必要があります。

民法によれば、契約不適合が存在する場合の責任追及として4つの方法により求めることができます。

  1. 履行の追完
  2. 代金の減額
  3. 損害賠償
  4. 契約の解除

1の「履行の追完」について、少しだけ補足説明します。

履行の追完とは、契約通りのものを引き渡すように求めることです。具体的には、建物の補修、代替物の用意、不足分の引渡しになります。

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない

民法541条本文、564条本文より

このように、4の契約の解除については、契約不適合の程度によっては認められないケースもあります。

不動産売買契約では特約事項を上手に活用する

特約条項は、不動産売買契約における個別交渉の結果になります。

既にテンプレート化しているような特約条項もあれば、個別交渉によって記される特約条項もあります。

特約条項の中身をしっかり確認することで、安全な取引ができるようになりますので、しっかりと理解しておいて下さい。

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